金属結晶の単位格子は面心立方格子・体心立方格子・六方細密充填の3種類しかないのか?

化学

代表的な単位格子

 世の中には多くの金属が使われています。その金属原子は適当に並んでいるわけではなく、一定の規則に従って並んでいます。その繰り返し単位を抜き出したものを単位格子といいますが、常温・常圧の条件において、その単位格子は面心立方格子・体心立方格子・六方細密充填のいずれかを取ります。下にモデル図を示します。

面心立方格子モデル図
体心立方格子モデル図

図1 充填構造のモデル図

六方細密構造モデル図

 このうち、六方細密構造がどういう原子配置なのか、図1だけではわかりにくいと思うので、真上からの図も見てみましょう。黒い線に黄色い丸が単位格子です。

図2 真上から見た六方細密充填

 私は、六方細密構造を初めて見たとき、「なぜ六角形で単位格子を切るのか?」という疑問がありました。また、「単位格子の真ん中の層は、なぜ3個の原子しかないのか?」と考えていました。この疑問は、図2を見ることで解消できます。すなわち、原子が三角形ベースで並んだ層がいくつも重なっていて、単位格子で抜き出すと、3個の原子が真ん中の層に残るということになります。

上記3種以外の単位格子はあるのか?

 さて、ここまでに3種の単位格子を紹介してきましたが、金属における単位格子はこれだけしかないのでしょうか?いえ、非常にレアですが他にも単純立方格子というものがあります。

単純立方格子モデル図

 その名の通り、原子が単位格子の立方体の頂点に存在するもので、この構造を常温・常圧とるのは金属のうちでも「ポロニウム(元素記号:$\ce{Po}$)」だけです。ただ、このポロニウムは放射性物質なので、普段の生活や教科書上での記述でお目にかかることはまずないでしょう。

まとめ

 以上、単位格子の概略と、レアな単純立方格子についての紹介でした。ただし、今回紹介したのは、「常温常圧」かつ「金属単体」の限定された条件であり、「ごく低温まで冷却する」または「加圧する」または「2種以上の原子からなる」条件での結晶は、さらに興味深い挙動を示します。
 基本を押さえたうえで、さらに深くまで学んでみるのもよいのではないでしょうか。

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