危険物取扱者:黄リンと赤リンはなぜ分類が異なるのか?

化学

はじめに

先日、こちらの記事にて、危険物取扱者取得に向けた注意点等を記載しました。

その中で危険物の分類というものがありますが、特に「リン」について取り上げます。

危険物の一覧には、リンという同じ元素からなる「黄リン」と「赤リン」が、同じ類に属していません。

黄リンは第3類(自然発火性物質及び禁水性物質)、赤リンは第2類(可燃性固体)です。

すなわち、赤リンは熱源があって初めて燃え始めますが、黄リンは空気に触れただけで発火します。

同じリンでありながら、なぜ性質が異なるのでしょうか。

赤リンと黄リンの構造

性質が異なる理由は、分子構造にあります。

赤リン

赤リンは、多くのリン原子が以下のように結合した状態です。

赤リン模式図

4個のリン原子が2個の3員環を形成した部分を1グループとしたとき、そのグループが複数個連なった構造となっています。

化学では、3員環は歪んでいてエネルギーが高い、と言われており、リン原子自体の酸化されやすさと、3員環を崩して安定になろうとする効果が相まって、熱源があるときに燃えやすいということになります。

黄リン

 一方で、黄リンは4個のリン原子のみで分子を作っている構造です。

黄リン模式図

赤リンは4個のリン原子で2個の3員環を形成していたのに対し、黄リンでは4個のリン原子で4個の3員環(化学のルールで正しく数えると、厳密には3個)を形成しています。

これにより、構造の歪みに由来したエネルギーにより、熱源がなくとも空気中で自然発火するというわけです。

おわりに

以上、黄リンと赤リンの違いを、図で示してみました。

黄リンは危険物であると同時に毒物でもあるので、使用する機会は少ないと思われます。

しかし、危険物取扱者を取得するために、性質は把握しておきましょう。

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