リン酸化物の名称
リンを燃焼させると酸化物が生じますが、五酸化二リン($\ce{P2O5}$)ではなく十酸化四リン($\ce{P4O10}$)と呼ぶのが一般的です。
$\ce{P2O5}$と書くほうが数字を割れるだけ割っていて、適切なようにも見えます。
なぜ$\ce{P4O10}$のほうが適切なのでしょうか。
それは、リン酸化物の構造を見ることでわかります。
リンの種類、危険物取扱者試験における分類などは、以前の記事をご参照ください。
十酸化四リンの構造
十酸化四リンの構造は、下図のように3環性のアダマンタン様の構造をとります。
この図を見るとわかるように、2個のリン原子と5個の酸素原子で区切ろうとしてもできません。
化合物を構成する原子の数の比を示す組成式として、敢えて$\ce{P2O5}$と書くことはあります。
ただし実際の分子構造を示すのは$\ce{P4O10}$なので、特に理由がなければ$\ce{P4O10}$と書くほうがよいかと思います。
おわりに
以上、十酸化四リンの名前の理由を、構造から紹介しました。
分子式に疑問が出た場合は、このように構造を書くことで解決できることもあるので、参考にしてみてください。
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