環の数え方 平面状分子の場合
有機化学を学んでいると、複数の環が連なった化合物がたびたび登場します。その際に重要となるのが、いくつの環でできた化合物なのかを把握することです。
はじめに、簡単な例を見てみましょう。芳香族性化合物で、平面状の分子のナフタレンとピレンの図を示します。ナフタレンは2環性、ピレンは4環性です。
環の数え方 立体状分子の場合
ナフタレンとピレンは見たままの環の数なので、わかりやすいと思います。それでは、次に示すアダマンタンは何環性でしょうか?以下のように数えて、4環性のようにも見えます。
しかし、答えは3環性です。
強引に平面分子として描く方法
1個目の環の数え方は、分子を強引に平面で描く方法です。アダマンタンを強引に平面で書いてみるとよくわかります。わかりやすく炭素に番号もつけてみました。右の図を見ると、アダマンタンが3環性であることに納得できると思います。
不飽和度から判断する方法
2個目の環の数え方は、不飽和度を利用する方法です。環が1個増えるごとに、不飽和度が1増えることを利用することでも、数えられます。アダマンタンの分子式は$\ce{C10H16}$です。一方、炭素数10かつ不飽和度0のアルカンの分子式は$\ce{C10H22}$です。炭素数の差は6個なので、不飽和度は3に相当し、すなわち環3個分に相当することになります。
以上より、アダマンタンは3環性と判断できます。
まとめ
今回はアダマンタンを例に取り上げましたが、ほかの立体状化合物においても、
①平面分子として強引に描いてみる
②不飽和度を利用する
ことで、一見して分かりにくい環の数が簡単に数えられます。
以上、皆様のお役に立てば幸いです。
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