はじめに
酸素系漂白剤は、酸素を含む化学物質が漂白効果を発揮する洗濯用品です。酸素系漂白剤は、一般的に、塩素系漂白剤よりも穏やかな漂白作用を持っています。代表的なものには過炭酸ナトリウムがあります。以下では、酸素系漂白剤(特に過炭酸ナトリウム)を用いた漂白ののメカニズムについて詳しく説明します。
過炭酸ナトリウムによる漂白作用
漂白作用を示す物質(活性酸素)の発生
過炭酸ナトリウムは、化学式で$\ce{2Na2CO3}$$\bullet$$\ce{3H2O2}$と表されます。化学式から分かるように、過酸化水素$(\ce{H2O2})$と炭酸ナトリウム$(\ce{Na2CO3})$を2:3で含んでおり、水と反応することでこれらの成分が遊離します。この時に生じる過酸化水素が漂白作用において重要な役割を持ちます。
過酸化水素は「活性酸素」の一種です。活性酸素は一般的に酸化力が高く、酸化剤として働く特性があります。
活性酸素による有機物の分解
過炭酸ナトリウムを使う場面の例として、衣服から生乾き臭がするときを考えます。過炭酸ナトリウムを水に溶かしたときに発生する酸素は、この生乾き臭の原因物質を分解してくれます。生乾き臭の原因物質は、モラクセラ菌が生産する「4-メチル-3-ヘキセン酸」などがありますが、これは炭素・水素・酸素原子から構成される有機物です。
一般的に、有機物は酸化剤が共存すると酸化されて水と二酸化炭素になります。
有機物 + 活性酸素 $\rightarrow \ce{CO2} + \ce{H2O}$
すなわち、生乾き臭の原因である物質は、活性酸素によって分解されるため、消臭されるというわけです。
実際の使用時の注意
はじめに、過炭酸ナトリウムを取り扱う際の注意を示します。過炭酸ナトリウムは水に溶かすとアルカリ性を示し、同時に過酸化水素を発生させます。アルカリと過酸化水素は刺激性があり、皮膚や目に対して有害な影響を与える可能性があります。使用する際は製品の注意書きをよく読みましょう。
筆者の場合は、保護メガネを装着することが多いです。また、作業後はすぐに手をよく洗い、薬品の影響が残らないように気を付けています。
まとめ
過炭酸ナトリウムは、水と反応して過酸化水素と酸化水素ナトリウムに分解し、活性酸素種による漂白作用を発揮します。この活性酸素は有機物を酸化して漂白を達成します。ただし、適切な取り扱いが必要であり、安全性に留意することが重要です。
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