物質の塩基性も、酸解離定数pKaから判断できる
物質の塩基性を知りたいとき、塩基解離定数というものを用いて判断する方法があるが、この数値は酸解離定数ほど情報が充実していない(と筆者は感じている)。そのため、酸と同様に$\rm{p}\it{K}_\rm{a}$から塩基性を判断するのがよい。
考え方としては、塩基から見た共役酸の$\rm{p}\it{K}_\rm{a}$が大きいほど強い塩基である。
※補足
共役酸・共役塩基とは?
ある化合物が酸(プラス電荷の化学種)を出し、同時に生まれるマイナス電荷の化学種を共役塩基
ある化合物が塩基(マイナス電荷の化学種)を出し、同時に生まれるプラス電荷の化学種を共役酸
という。
例:
酢酸($\ce{CH3COOH}$)を基準にすると、共役塩基は酢酸イオン($\ce{CH3COO-}$)
$\ce{CH3COOH} \rightleftarrows \ce{H+} + \ce{CH3COO-}$
酢酸イオン($\ce{CH3COO-}$)を基準にすると、共役酸は酢酸($\ce{CH3COOH}$)
$\ce{CH3COO-}+ \ce{H2O} \rightleftarrows \ce{OH-} + \ce{CH3COOH}$
例として酢酸ナトリウム($\ce{CH3COONa}$)と水酸化ナトリウム($\ce{NaOH}$)の塩基性を比較する。酢酸ナトリウムを水に溶かすと弱塩基性、水酸化ナトリウムは強塩基性であることは周知のとおりと思う。この時、酢酸ナトリウムの共役酸は酢酸で、水酸化ナトリウムの共役酸は水である。
$\ce{CH3COONa}+ \ce{H2O} \rightleftarrows \ce{OH-} + \ce{CH3COOH}+ \ce{Na+}$
$\ce{NaOH}+ \ce{H2O} \rightleftarrows \ce{OH-} + \ce{H2O}+ \ce{Na+}$
共役酸の$\rm{p}\it{K}_\rm{a}$は、酢酸が約4.7、水が約15.7であるから、共役酸の$\rm{p}\it{K}_\rm{a}$が大きいほうが、塩基性が強いことがわかる。
参考:$\rm{p}\it{K}_\rm{a}$の定義を説明したページはこちらです。
水素イオン指数pHと酸解離定数pKaの関係 | リチウムの忘備録 (enjoy-various.com)
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